ユーノス・ロードスターの鮮烈デビューから、ユーノスブランドの撤退の陰に隠れた幻の一台
ユーノス・コスモという車を、ご存じだろうか1990年にマツダ自動車の傘下にあったユーノス店から高級感あふれる本格派パーソナルクーペとしてデビューを飾った車である。ユーノス・コスモの販売の半年前に、強烈で鮮烈にデビューしたユーノス・ロードスターはいまでも記憶にある人は多いと思う。その勢いに乗り販売されたユーノス・コスモは、マツダ独自のロータリーエンジンを全車に搭載。3ローターと2ローターの仕様となり、重厚感のあるタイプE、スポーティーなタイプSの組み合わせで4タイプのグレードで販売された。価格帯は330万から530万と当時としてもバブリーな車としてマツダとしては最高価格の車種となった。流線形の外観とオーストラリア産最高グレードの本革を使用する高級車であった。がしかし、マツダの思惑は外れ売上は思わしくなかったのである。
ユーノスとは、マツダの自動車ブランドとして1989年から1996年のわずかな間、存在したのである。当時販売系列がマツダ、マツダオート オートラマの3つの系統から他社同様に5つの系統を持とうとして生まれプレミアムブランドとしてユーノスは、位置付けられたのである。その後、「株式会社ユーノス」を立ち上げ全国の統括会社としての位置付とする。これは、イメージ戦略としてマツダを、前面にださずにいわば「ユーノス」ブランドを確立しようという試みであろう。実際、ユーノス・ロードスターの話題性もあり、全国のマツダ販売網は一斉に参入した、しかし思惑ははずれ、ユーノスブランドの確立は業績不振で失敗に終わる。結果的に立ち上げ当初から、このブランド計画は、危ぶまれており、短期間のうちに危惧されたことが現実のものとなってしまったのである。
ユーノスのラインナップした車は、何度も出ているがユーノス・ロードスターが先陣をきり、ユーノスにとっては歴史的名車であったことは間違いない、そして世界で唯一の3ロータリーエンジンを搭載した、ユーノス・コスモは、世界初のGPSナビゲーションも装備していた。そのほかにも、ユーノス500、ユーノス800、ユーノス・プレッソと独創的で、個性のある車が、続々と販売された。特にユーノス・プレッソは、当時世界最小のV6エンジンを搭載し話題性は十分のはずであったが、一部の猛烈なファンがいた反面、一般大衆向けの車ではなかったことが、販売台数を伸ばせない原因であった。とはいえ、今現在においても、ユーノスブランドをこよなく愛すファンが、ブランドが廃止されてからも根強くいるという現実がある。販売期間が短かったこともあり、幻のブランドとして、強烈なインパクトが、今も心の中に刻まれているのだろう。